日本の木造住宅、何か新しい便利なものが出来ると何かがおかしくなるの繰り返し。
LEDでいろいろ書きましたが、建設業界も電気業界に何か言える立場にはない。
日進月歩の中でも、外壁の変革がなかなか興味深いです。
オイルショックで、住宅の断熱化が進み、アルミサッシの普及で気密化が進み
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寒冷地で、内部の湿気が壁内に入り、内部結露による構造体の腐敗が生じ
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内部の湿気が壁内に入らないように、内部に防湿層ができ
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防湿層の設置で、気密がますます高まり、ホルムアルデヒドによりシックハウス症候群がおき
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ホルムアルデヒドが溜まらないように、換気が義務化され
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換気をすると室内が乾燥し、生材だと乾燥による変形が大きくなり気密が取れなくなるので乾燥材を使うようになり
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今まだ進歩中
今は、高気密・高断熱の時代、住宅では無く宇宙船ではないかしら?とも思えますが
エネルギーの消費を最小限に抑えるには、今のところこれ以外に方法が無い。
宇宙ステーションでエネルギーの無駄使いをしたら死んじゃいますから、同じといえば同じですね。
実家は、オイルショックの時の建設だったからか、図面には断熱材グラスウールの記載。
北側の外壁は、指で押す入ってしまうくらいぼろぼろ。
教科書通り、防湿層無し、壁内グラスウールの内部結露による腐敗かな?と思いつつ、温暖な神奈川県で、ここまで傷むか?とも。
ところが、内部を解体してもグラスウールは無く、構造体は、ほぼ健全な状態。
一同???、となりつつ、健全で何よりと安堵。
でも、何で外壁がダメになっているのか?
大工さんが、外壁もちょっと見てみようかと、内側から穴をあけてみると、なんと!グラスウールが出てきました。図面通り・・・。
防水層の外側の外壁のラワン材の中に挟まって、薄いグラスウールが入っていました。
外壁からの雨水の侵入で、グラスウールが水を吸って、外壁を腐らせていたようです。
グラスウールの扱いがよく知られていない時代なので、しかたがないと思います。
それはさておき、構造体はほぼ健全でした。
気密も取れていないし、防湿層ももちろんない。
床は荒板で断熱材無しで、外とつながっています。
人にとっては、寒くて大変な環境ですが、木材にとっては、適度に乾燥したいい環境だったよう。
古民家に通じるような建物・・・。
構造体のほぼ健全の「ほぼ」は在来浴室に面する土台と柱、少し腐敗が進んでいました。
耐震改修を数多く手掛けている工務店さん曰く、「これはかなりまともな方」とのこと
土台が無くなっていたりすることもあるそうです。
浴室は、一度リフォームしているので、それが良かったのかもしれません。
浴室は、湿度も高いし、防水も100年もつわけもなく、定期的なメンテナンスは何にしても必要ですね。
さて、今の木造住宅の外壁
瑕疵担保履行法が出来てからは、一部の仕様を除いて通気工法が用いられるようになっています。
この、外壁と断熱材との間の空間は、前記したとおり、壁内の湿気を排気する役割が主ですが、もうひとつ大事な役割があります。
建築の防水は、基本的に二重の備えをします。
鉄骨造のALCやセメント板は、目地のシーリングの後ろにガスケットを入れて、シールが切れても水が排水出来るように計画します。
コンクリート造のサッシと躯体との取り合いの目地も二重にしたりと、備えあれば憂いなしにしておくことが基本です。
木造の場合、外壁があって通気層があり、防水層があります。
ですので、外壁から入った水は、通気層を流れて外に排出されます。
他と同じように木造の外壁も備えあれば憂いなしになっています。
通気層が無い場合は、実家と同じように、外壁背面に入った水がなかなか排出されず、外壁を傷めてしまいます。
なので、通気層は大切なんです。
そして一番大事なのが、断熱材の外面(通気層の内側面)に設ける防水層。
ここが防水のかなめになります。
木造住宅は透湿防水シートで覆われたビニールハウスとも言えると思います。
外壁材は、それを保護するためのものです。大袈裟に言うと無くてもいいもの。
よく、エアコンを後から付けるために、外壁に冷媒を通す穴をあけているのを見かけます。
メーカーの仕様書では、外壁にシール。
これ、前記したとおり、通気層のある外壁の場合、あまり意味が無い所にシールをしていることになります。
おまけに、内部の防湿層も突き破り・・・。(ひょっとしたら、筋交いも切っているかも・・・)
今、お家を考えている人で、エアコンをどうしようか考えている人は、穴とコンセントだけは付けておきましょうね。
備えあれば憂いなし。
何でも同じですね。