2011年 09月 30日
隅柱のホールダウン金物の代わりにJBRA-1の30kN用のものを施工しました。
だいたいの家は、上下階の四隅に耐力壁があります。
隅の柱は荷重はそんなにかからないのですが、地震で揺れた時に基礎から離れようとする大きな力がかかります。
この力がどれくらいかかるかどうかをN値計算で求めます。
昔の建物では、半割(厚さ45mm)の筋交いを使っているケースが多いと思いますが、
これが上下階にあると、最下部の基礎との取り合いで部分で、15kN~25kNの引っ張る力が働きます。
加わる力は、筋交いの向きにより決まります。
新築の場合は、この引き抜き力に対応したHD金物を設置して、基礎にしっかり固定します。
HD金物は基礎に埋め込まれたアンカーボルトにより固定されます。
耐震改修の場合、基礎が既にあるために、アンカーボルトをどうするかが一番の悩みとなります。
一番手っ取り早い解決法は、後施工アンカーを既存の基礎に設ける方法です。
25kNの既製品がありますが、設計マニュアルに細々と記載があり、
最終的な強度は、既存の基礎のコンクリート強度に依存し、コンクリート強度毎に引き抜き強度が記載されています。
弱いコンクリートでは、所定の耐力は出ない。
当たり前ですね。
でも、こういう細かい資料を開示している製品は、信用出来ますし、良心的だと思います。
資料を見る限り、既存の基礎では25kNを得ることは出来無さそう。
結局のところ、既存の基礎の強度次第ということなので
横浜市の木造耐震改修工事のマニュアルでは、
ツイン基礎の新設部分にアンカーボルトを設置して、
アンカーボルトの所定の耐力はきちんと確保するような納まりの記載があります。
ツイン基礎は既存基礎の横に付けるので、アンカーボルトは本来の位置(柱の直近)には来ませんので
それをつなぐ専用の金物を使い、HD金物に設置します。
でも、アンカーボルトの偏芯が、なんだか気持ちが悪い・・・。
そこで見つけたのが、JBRA-1
似たようなものでは、SRF等があります。
これの良い所は、偏芯しないで基礎につなぐ事が出来る事です。
設置の条件は、コンクリート強度18N/mm2
これは、横浜市のマニュアルのツイン基礎の補強をする場合の条件と同じ。
既存基礎のコンクリート強度が18N/mm2以上あるかどうかが、補強方法を決める大きな分岐点だと思います。
でも、このJBRA-1、施工が面倒というか、
雨に濡れてはだめなんです。
養生(接着剤の硬化時間)を入れて2日間。
これをクリアするのが、なかなか大変で、1週間まってやっと施工ができました。
雨養生のシートで塞げば良いかと言っても、完璧では無いですし、
何より、基本的にやり直しはできませんと、マニュアルに・・・
人間がやることなので、そうそう完璧にはできないだろうにと。
もう少し、簡単に出来るように、改良して頂ければと思います。
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by suzuki-ar
| 2011-09-30 17:01
| 建築:住宅耐震・断熱改修